この『Give and Take』という言葉は日本でも多くの場面で使われます。職場でも、友達同士でも、人との関わり合いがある場面ではとても重要で理想的な考え方とさえ思われているかもしれません。
しかし、多くの日本人はこの言葉の意味を誤解しています。この言葉に限らず、日本でよく使われる英語は、いつの間にかその意味やニュアンスが日本独自の考え方や生活スタイルによって変化し、本来の意味とは異なった使い方がされることは珍しくありません。
私はこの『Give and Take』もその一つだと思っています。
今回は、この言葉の本質を理解するために、皆さんと一緒に掘り下げて考えてみたいと思います。
『Give and Take』の本当の意味とは

私達日本人の多くがこの『Give and Take』という言葉を使う場合の意味合いは、
・与えたら与えた分だけ返ってくる。
・こちらから与えるのだから、自分もそれと同等の利益を得る権利がある。
・与えられたら、与え返すべき。それがフェアな関係性。
少し極端な表現をしてしまいましたが、少なからずこのようなニュアンスで理解されている人が多いのではないでしょうか。
これらのニュアンスを冷静に見てみると、少し打算的とさえ感じることもできます。
与えたら与え返してもらえる。この関係性が常に成り立っているのであれば問題はありません。物理的に物々交換のようにできるのであれば簡単ですし、特に問題もありません。しかし、その場で何かを与え返すこともできなければ、そもそも相手はそんなことまで考えていないということも往々にしてあるのではないでしょうか。
では、本来の意味はどういうことかというと、「与え合う、助け合う、相手のための行動をし合う」という意味です。
一見、上記の例と同じような意味合いに見えますが、ここには受け取るという要素は直接的には入っていません。もちろん、与え合うということはそこに受け取る(Take)という行為も発生しますが、重要なのは与える(Give)という部分なのです。
Takeという単語が入るために受け取るというイメージを持ちやすいですが、本来の『Give and Take』とは『Win-Win』という関係性を構築するための行動という考え方に近いと言えるのかもしれません。
間違った固定観念でストレスを感じてしまう人

『Give and Take』この言葉の本来の意味は素晴らしいものでありますが、誤解釈をしてしまっているためにそれが原因でストレスを感じてしまう人がいます。
先にも述べたように、本来の意味である与え合うという関係性ではなく、まず一方が与え、そして与え返されるのを受け取ると解釈してしまっている場合には、相手が自分の与えたという行動に対して期待通りのリアクションや見返りをしてくれないことに気分を害してしまうことがあるのです。
”私はこれだけのことをしてあげたのに、相手は何も返してくれない”。”私は助けてあげるのに、いつも私は何もしれもらえない”。場合によっては感謝さえされない。このようなことを考え続けていたらストレスになるのは当たり前ですね。
しかし、現実に目を向けるとそれが理想だと思っていても実際はそうならない場面が多いのではないでしょうか。
たとえ間違った解釈であっても、『Give and Take』という概念はフェアに思えますし、良い人間関係が成り立っているようにも見えます。なので、それを目指すべきという考え方になる気持ちは理解できます。
では、本来の『Give and Take』という概念を理解し、より良い人間関係の構築をするにはどうしたらいいのでしょうか。
目指すべきは『Give and Give』

とは言っても、人は誰でも損はしたくありません。
与えた分は返ってきて欲しいという欲求は本来誰でも持っているものだと思います。実際、私自身そう思ってしまいます。
『Give and Take』の解釈が間違っているという話をしましたが、人間の自然な欲求という意味では、自分が期待した見返りがない場合には損をしたと感じてしまうことは自然と言えば自然なのかもしれません。
もっと言うならば、自分が親切にしてあげようと思ったのに、相手にそれを断られた時でさえ気分が悪くなってしまうこともあります。その場合は自分で既に何かを与えているというわけでもないので、別に損をしているということでもありません。
それらが人として自然な感情であったとしても、やっぱり毎回そのような気持ちになってしまうのは健全であるはずはないですし、何よりも自分自身が疲れてしまいますよね。
では、それに対してどのように対処するべきなのでしょうか。
それは、「与えることは、与えっぱなしでいい。良いことは、やりっぱなしでいい」という意識でいることです。
誰にでもこれまでの人生でお世話になった人、感謝している人は1人くらいはいるはずです。
その人は、あなたにとって価値のあるものを与えたり、困っている時に助けてくれたりと、感謝されるようなことをあなたにしてくれたのに、それに対してあなたに感謝して欲しいという態度を取ったでしょうか。
身近な存在で言えば母親を思い出してみてください。もし該当しない場合には学校の先生でも構いません。
子供の頃から現在至るまで、どれだけあなたに与え続けてくれたでしょうか。赤ん坊の頃には自分の寝る時間もないほど世話をしてくれ、学校に行き出しても朝からお弁当の用意、学校にいる間は洗濯や掃除、家事をすると同時にお仕事についていたかもしれません。自分の方がよっぽど疲れているはずなのに、家族の食事の用意や寝かしつけた後には片付け、それからまた明日の準備など。
そして、母親はあなたに与え続けたことに対して、何かを与え返して欲しいと言っていたでしょうか。感謝をしてほしいという態度は取っていたでしょうか。もちろん、それぞれの事情は違うと思いますが、これまでの人生の中で同じようにあなたを支えてくれた人を思い出してみてください。
全ての人が与える(Give)ということに集中することができた時、そこには意識をしていなくても自然に受け取る(Take)ということも発生することになります。
つまり、皆んなが『Give and Give』をお互いにすることで、これまで多くの人が持っていた間違った解釈の『Give and Take』とは比べ物にならないほど、ストレスのない豊かな心を持つことができるようになるのです。
簡単だとは思いません。人間である以上どうしても持っている欲求がそれを邪魔するかもしれませんが、今回お伝えしたことを理解して意識することができれば、それだけで大きな違いを感じることができるのではないかと思っています。
自分が与えたものに対して、相手から期待したような反応がなかったとしても、
それでいいのだと、そういうものだと受け入れること。
期待などせずに与え続けるということ。それが大切なのです。

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